コンコース(西)
改札内広場の西側。
有名コーヒーショップや小さめの本屋、土産屋などがある。
営業時間外の為、殆どのお店は閉まっている。
ホームへの登り階段・エスカレーターもある
【道具使用】
八須 は お菓子 を使った。
おいしいお菓子だ
見回りルートの最後のポイントは休憩所。なんとも嫌なことに、複数の人影がある。
記録しておこう。
そう思ってトイカメラのファインダーを覗き込むと。
小さな画面に写った人影が、顔が、揃いも揃って全員自分の方を見つめていて。
「っ──!」
まともな声も出なかった。必死にシャッターだけおしこむと、その場から走り去る。
「今日の見回りルートは……ここかー」
「ひとまず異常なし、と……」
新しいルート。慎重に懐中電灯をつけて進んでいく。足が重い。
「うーん、ずっと見られてる気がする」
「報告案件か僕が怖がり過ぎてるだけかどっちだ…」
懐中電灯で足元を照らしたり、周囲を照らしては遠い目をしたり。
「お友達からね…」
見せつけるつもりはこれっぽっちもなかったけど
流れでなんかそんな風になってしまった気も
つけ込んでくる男の言葉は半分流しながら
さて、と懐中電灯を手に先に歩いていくんだろう
巡回業務を再開する為に
「人には人の付き合い方ってあるから別に強要なんてしないよ
でも付き合ってくれるとうれしいな〜」
1セリフの中で手のひらを返してきた。芯がヘナヘナすぎる。
拒絶しきれないとそれにつけ込んでくるのがこういった男の悪い癖だな。
「じゃ、行こ行こ」
そう囃し立てつつ、あなたが出発する気になったらついていく算段。
「皆が皆そうじゃないと思うすよ」
「自分に見合えば何でも良いんすよ」
「行ってらっしゃい。怪我せんよう気を付けて」
「あ〜……なんか……」
「まあ、昼寝するか……」
結局見せ付けられちゃったかもな……。
「そういうものなの?みんなそんなお試しで付き合うんだ…
でも、私はお友達からの方が心の準備が出来るから助かるかも。」
考え方が古いのかもしれない
もしくは…そういう事に不慣れ
全く経験がないという事だろう
拒絶しきらないところも
そういう部分があるせいかもしれない
「怖かったら頼るけど引っ付くかは別!
そろそろ行こっか。遅くなるのもだし。」
ひゅー、と聞こえたら、ちょっとあたふた
「そういうこと
実際付き合ってみたらオレの良さとか良さとか分かるかもしれないしね
まあだから絶対付き合えとも言わないけどさ」
この男は軽すぎるし、どこからそういう自信が出てくるのやら。
「交際中って言うたら皆お試し期間じゃないすか」
「お互いの好き嫌いを知ってく時間みたいな」
「なんで、いっそ一から始める、みたいな」
おカタいってか、やや古いかも。
本当にいいとこのお嬢さんだったりするのかな。
知らんですけども。
「ヒュウ~~……」
口笛、吹けないんで。言語化した口笛を一摘み。
「お、いいの!じゃあ一緒に行こ行こ!
大丈夫大丈夫。困ったらオレを盾にしていいし怖かったらオレにひっついてくれたらいいからね」
語尾にハートマークがつきそうなほどテンションが上がって大変うざい。
まあ許可さえ取れればあなたについてくるだろう。大男が。
「実際駅周りに開いてる店とかないんかな
オシャレなカフェとかさ
そしたら誘いやすいのにな」
駅弁デートよりはよっぽどうれしい
「夜の無人駅でオレと一緒に駅弁を……
ないない。それなら肝試しに誘うわ」
「も、もう…」
突っ込みが追い付かないなこれ
怪奇現象起こりまくりの駅内で夜の駅弁食べませんかは
もはや怪異ではなかろうか
「付き合ってから分かり合うって
お試し彼氏みたいなの…?聞いたことないけど。」
貞操はしっかり堅い方みたい
主にナンパマンの言葉が故の
本気じゃなくて普通に遊んでるだけでは疑惑が大きいかも
「お仕事は行くよ。ちゃんと一緒にね。」
デートになるのか分からない夜の巡回は快諾する辺りは
ついてくるなとかそこまでの拒絶はなさそうだった
「居ないとは限らないじゃないすか」
「……」
「いや、居ないか、そんなん」
「夜の無人駅って絶好のロケーションじゃないすか?」
「デートコースってよりは肝試しすけど」
「駅弁もちゃんと腹に溜まるし」
「そんな文句で靡く女がどこにいんだよ……
もっとカッコつけたとこ誘うだろ」
「……でもちょっと考えてみるわ
ここで一番高いの駅弁だしな」
検討枠に入った。
「え~?」
え~~~?
「ナンパの仕掛け方が悪いんじゃないすか?」
「もっとほら、俺と一緒に夜の駅弁食べない……?とか誘い方あるじゃないすか」
「ハハ、残念、断られちゃった
お前のせいだぞ」
軽い調子でそう言う。あと清掃員の彼のせいではない。
どう考えても軽すぎるこいつが悪い。
「じゃあお友達として一緒に巡廻行こうね」
でもまだ引き下がりきってないなこれは。
「ま、冗談すけどね」
清掃員って暗い噂沢山ありますけど。
上にヤの付く人らが居る訳でもなし。
っつ~か分からんので、これも推測の域を出ない。
「おカタいお嬢ちゃんすね……」
「今ってほら、付き合ってから分かり合うのもアリらしいすよ」
「何言ってるのかなぁっ!」
目の前で突っ込みどころ満載の会話をする男二人
うん分かった!なんて言えたものじゃない
「あの、そういうのはちゃんとお互い分かってからの方が良いと思うし、巡回で一緒に行くくらいは別に友達でもするでしょ!」
付き合うのもイチャイチャするのも
違うそうじゃないで首を横にブンブン
でも一緒にお仕事付き合うのは良いらしい
何する気かって?
「俺、普段清掃員のバイトしとるんすよ」
「……。…………。…………で」
「掃除が得意なんすよ」
で、黙り込む。