コンコース(西)
改札内広場の西側。
有名コーヒーショップや小さめの本屋、土産屋などがある。
営業時間外の為、殆どのお店は閉まっている。
ホームへの登り階段・エスカレーターもある
実際蜘蛛っていっても軍曹ぐらいを想像してるかも。
まだまだ想定が甘いな。
「ヒトコワって何する気だよ。しねー、しねーって。
というか女の子とそういうイチャイチャするところは独占したいしな」
「あとどんくらい巡回したらアレ買えるかねぇ……」
気が遠くなるな。
「愛に日数とか関係なくないすか」
「そこに掛け値無しに育まれた愛があるなら」
「もうそれカップルなんじゃないすか」
これはかなり適当をコいた発言。
「トラウマねえ……」
その大きな蜘蛛って軍曹くらいの大きさなんじゃないかな。
飛び切りドデカい蜘蛛の化け物とかじゃなくて。
でも、何でもキショいはキショいですもんね。
「頼んだすよ」
「目の前でむちゅちゅ♡むちゅ♡な~んてされようもんなら」
「幽霊より怪奇現象より怖い本物のヒトコワを見せ付けてやりますから」
「カップルじゃないよ…昨日知り合ったばっかりだし。」
心外その2
なんならナンパされてるだけだし
一緒に巡回するなら確かにちょっとは安心かなとは思っただけで
「あれ買うのにボーナス15回分くらいなんだよね…
もっと高い備品もあった気がするけど。
明るい方が気が楽なのは本当にそうだと思う。」
買う為に頑張るか…頑張るしかないな…
快適な巡回ライフの為に……
警戒されてそうなら止まる。その方がいいと思ったので。
じゃあ最初のハグはなんだったのか。
「壁にくらいなるなる。なんなら退治もしちゃうからね。安心していいよ」
「あまり多いとオレも愛を伝えきれなくて参っちゃうからさ」
やかましい。
「だーじょうぶだいじょうぶ、イチャイチャするのは野郎の目に見えないとこでやるからさ」
「そ~ゆう廃墟デートは俺の見えんとこでしっぽり……♡やってください」
「カップル見るとムカムカするんで」
「わかる。オンボロライトと比べると10倍以上の額すもんね」
「投資に見合うのかどうかっつうのが……気になるとこ」
「でもね、明るい方が絶対気ぃ楽すよ」
絶対そう。絶対ね。
「蜘蛛はちょっとトラウマあって苦手なの。
なんかここ、大きい蜘蛛が出るって聞くし
壁になってくれるなら助かる…」
止まってくれたのでちょっと気を抜く
案外気配りは出来るんだろうかと伺うようにして
「仕組みが分かったら確かに怖くないけど
あのライト本当に高いからそれまでが…」
備品の中でトップクラスに値が張るんだよな
あの業務用のライト
「かわいこちゃん1人居ればいいんだ…」
ちょっとだけ意外だった
かわいい子に囲まれたい!とか言うかと思っていたので
「人数多いもんなこのバイト
こんな調査オレとあとかわい子ちゃんひとりいれば十分なんだけどな。」
なんでこんなに雇うのか、にようやく頭が回り始めた。
……あまり考えないほうがいいのかも。
「あのバカでけーライト気になるけどな……。
たけーんだよ」
「そうすよ、仕組みが分かったんなら怖くないでしょ」
「あれだったらでけぇライト買えばまた気ぃ楽になるすよ」
なんで、本当に仕組みが分からんのは怖いんだろうな。
「いや、今俺、よく考えたんすけど」
「てっきり視線と思い込んでたの、非常灯だったかも知れんすね」
「光の温度に明るさなんかを頭で勘違いしてたんじゃないかって」
周りが暗いと感覚が鋭くなるらしいじゃないですか。
ないもの想像しちゃうらしいじゃないですか。
「あんま嬢ちゃん困らせちゃいかんすよ」
「ほら、パーソナルスペース……ってあるじゃないすか」
「なーんかいかにもなロケーションでなんか精神が持ってかれてるだけな気がするしね〜。
オレ達バカじゃないし〜 大丈夫大丈夫!」
このセリフがバカっぽい。
「え〜 大丈夫?
蜘蛛怖い? オレといれば蜘蛛も大丈夫だからね。」
引き下がらないな……近付く足は止まったけど。
「視線…結構色んな人が感じてるみたいだけど
二人も感じてるんだ?」
まだ自分はあまり視線に関してはまだ
偶に巡回していると見られている気がするくらいで
「ありがとう。大丈夫だよ。
蜘蛛さえ会わなかったら私はまだ平気だから。
ってなんか近い。近いんだけど。」
寄ってくる大男。
見上げながら昨日の事があるので緊張気味。
「気楽に、と、あと、精神大事にして欲しいなって思うよ…」
すり減らしてる人結構見るので
「カメラに映ってない以上は気のせいなんじゃないすか」
「俺達気のせいでなんとな~く窶れてるんすよ」
「そんなんすげぇバカっぽいじゃないですか」
居ないですよ、そんなの。
居ないって事にしましょうね。
「大丈夫すよ。気楽にやりゃいいんすよ」
「ね〜、だから声も視線?も多分気のせいだって。
そうだといってくれよ〜。」
視線だけじゃないんだよな。なんか見えるというか"居る"気がするんだよな……。
「女の子は小さくてもかわいいよ〜
もちろん大きくてもかわいいけどね」
言ったとも。ヘラヘラ悪びれてないし。
「思い入れ深い着物を大事に扱っとるんすね」
「施設かあ。施設って肩身が狭いって聞くすけど」
「ま、後々振り込まれる固定給だけでも払いは良いんで」
「怖がりがあんま無茶しちゃならんすよ」
「そうなんだ。それは大変だね〜
お金欲しかったんだ。奇遇〜」
この男は遊んでるから金が無いだけかも。
「オレと一緒なら怖いこと起きても大丈夫だよ!
行こ行こっ」
一緒に行こうと近付くかも。大男が。
これ怪異と同じくらい危険な存在ではないだろうか。
「稼ぎは体感良くなった気するすけど」
「たぁしかに、カメラで激写!みたいな事は一度もないすね」
「なんで、プラシーボかも知れんすね」
こ~んな無表情の癖して、声の抑揚ばかりが明瞭。
「今ちっこいって言いましたよこの兄ちゃん」
「いいんすか、ちっこい呼ばわりは」
「マジです。この服はお母さんの形見。
私は施設育ちだし、別に良いトコのお嬢さんって事はないよ。
この仕事は給料がかなり良かったし短期なら、って思って。」
確かに良い着物だし袖も長めだけど
育ち自体はごく普通なのだった
寧ろちょっと特殊かも
「変わらないね、ミズキさんは…一緒に行くのは良いけど
そりゃ、巡回してたら怖いことは度々あるでしょ。」
今回は声がしたのでびっくりしたそう
「オレもスマホで撮影すればなんか映るんかね
でも今んとこカメラには何も映ってないんだよな。
やっぱ気のせいじゃねーかなぁ」
「ちっこいっていってもこれくらいあれば普通に大人の女性でしょ。ね〜。」
「ね、すずめちゃん! 悲鳴あげるほど怖かったんだ?
じゃあオレと一緒に仕事しない?」
さらっとナンパする。隙あらば。こんな男だ。
「ぁじすか。こりゃ失礼」
「袖の丈長いし、和服に袖通しとるし、いいとこのお嬢さんかと」
後ちっこいし。
「まあ、」
「いいとこの嬢ちゃんならこんなバイトに手ぇ出さんすもんね」
「子供の笑い声とか泣き声とか、よく聞こえるじゃないすか」
「聞こえると思うんすけど」
「なんで、それかなって予想立てとったら……」
照れ隠しする様子をちら見。暫し沈黙。
「まあ、子供には……変わらんのかな」
「えっ、聞こえちゃってた?
恥ずかしいな、それは。」
思わず出たものでも聞かれてたら恥ずかしいもの
着物の袖で口元を隠すようにした
「あれ、昨日の。
ミズキさんだったっけ。こんにちは。
お仕事に精が出るね。そっちの人もこんにちは。」
人の気配に気づいてぺこ、ぺこり
ちょっとびくっとしたのは許されたい
「んぉ、お疲れ~す」
帽子の鍔を摘んで軽く会釈。
「今、スマホのカメラでも結構良い性能しとるみたいすもんね」
「俺、型落ちボロボロヨレヨレスマホなんで、分からんすけど」
「お!すずめちゃんの声がするよ〜!」
やかましいな。
「ああいう番組はもっと"ガチ"な機械使ってんじゃないかね。
最近はスマホとかもあるだろうが」