ホームB
ホームの一つ。
3・4番のりばがある。
>>11066
「そう、ですね。異常が無くとも時給は入りますし……」
「アナウンス、ですか。それは聴いたことないかもです」
電車は、何度か見かけたけれど。
矢張り、深夜にあっても昼間のように活動する人影が多いような……?
「怖くない、んですね……?」
すごいなあ。
>>11021
「困ってる子は放っておけなくてね」
にこりと笑顔を返して。
「まぁ平和な方が良いよね〜あんまりにも怖い事続いたら、仕事も嫌になっちゃうだろうし」
それはそれで良いことかも?と。
「僕の方は…電車が通ったり、アナウンスが聞こえたりしたよ。トランシーバーのせいかとも思ったけど違ったみたい」
あった出来事は、とても楽しげに話しただろう。
>>10987
「1人だと、その……困っていたでしょうから」
本当に。這いずって戻るにも時間が掛かったろう。
心理的負担を思えば余計に。
「ですね……」
「あ、はい。と言っても、あまり異常もなく……」
これと言って成果はない。
そちらはどうですか?なんて、小首を傾げた。
>>10958
「こんばんは」
「そっか、良かった〜」
いえいえ、大したことしてないよ〜なんて返しただろう。
「無理して悪化させるのも良くないもんね」
うんうんと頷き。
「今巡回中だったかな?」
>>10942
「あ。……こんばんは」
「はい、この通り、なんとか……ありがとう御座いました」
ぺこり。
知った声。肩の力を抜いて会釈をひとつ。
「まだ、走るのは少し怖いですけどね」
「……」
懐中電灯片手、ホームを歩く。
異常は今回ばかりは大人しい。
報告すべき事が少ないと嘆くべきなのだろうが、妙な安心感があった。
「……」
ああ。家に帰りたいな。父さんに会いたい。
口に出すと決壊しそうだ。口をつぐんで巡回を続ける。
巡回ルートが記憶と食い違うのもいつも通りだ。
ずっとずっと、たくさんの目が、口が、一つ人影が覗いてくるのも。
全て。
「今日もいつも通りだなぁ」
結局見つからなかったや。
きっと、見つけてもあたしにはどうもできないだろうけど。
そう考えながら、この乗り場を去っていく。
「あ」
通り過ぎる人影。いつもならただの異常と思って無視するもの。
人影が通った先まで駆けて……
「……まぁ、そうだよねぇ」
落胆した。またいつも通りだったから。
猫がゆっくり歩き出す。足跡は残らないのに、爪の音だけが増殖する。
気づいたときには、改札は消え、出口は線路の向こう側にしかない。
猫が振り返り、口角が人間のように上がった。
この駅は、降りたら最後だ
ホームの端が反転する。
線路が天井に貼り付き、風圧だけが下から吹き上がる。
通過予定のないはずの列車のヘッドライトが闇の奥で点き、近づいてこないのにブレーキ音だけが迫る。
猫が鳴く。
鳴き声と同時に、足元の黄色い点字ブロックが湿り、ぬるりとした肉球の感触に変わる。
スマホの画面には自分の顔ではなく、耳の生えた影が映っていた。
「次は――」
アナウンスが始まるが、駅名は◆◆に置き換わる。
最初はただの黒猫に見えた。
だが近づくほど、輪郭がブレる。
毛並みが影のように揺らぎ、尻尾が二本、三本と増えては溶ける。
猫がこちらを見上げた、瞳が電光掲示板の赤と同じ色に点灯した。
終電間際の駅のホーム。
蛍光灯が一斉に瞬き、白い光が不自然に伸び縮みする。
時刻表の電子音が途中で噛み砕かれたように歪み、スピーカーからは聞き取れない猫の鳴き声が混じった。
ベンチの下。
そこに、猫がいる。
「もう電車なんて走ってないはずなんだけどな…?」
通過したな、今。
トランシーバーから声もしたし…
「もうちょっと周ろうかな?」
そのまま、ホームすれすれを、ふらりふらりと。
トランシーバー越しだから、もしかすると知らない声だと思ったかもしれなかった。
けれども内容が内容だ。ならば相手は、そうだろう。
「おやすみー」
笑いながら声を吹き込んで、巡回の続きに戻った。
「『…………』」「『オ~ヤ~ス~ミ~……………』」
鼻歌の後、そんな段々ノイズ混じりに遠ざかっていく怪奇現象ボイスが微かに聞こえたかもしれない。
新調した懐中電灯の持ち手は赤色。真っ暗の中じゃ色なんて大した意味はない。
トランシーバー片手に適当な鼻歌。近くのトランシーバーにもひびくのだろう。
「んー……今日で半分くらい?」
こんな怪しいバイトのわりには何もなく今日まで来た。ただの幸運などとは知らず。
「はい、お疲れ様でした」
やはり一切合切見えませんからね。
見えないにしても、
見たいから努力してるんですけど。
誰も居なくなったなら、
いよいよお仕事タイムです。
「おやすみ〜、まどいはまあ良いとして、ウヅカは早く寝た方が良いよ〜」
あくび混じりに宿舎に戻って行くピンク頭の肩に半透明の手が置かれていた、かも。
きっと呼びやすいんだろうね。
昨日だけじゃないんだ!? 丑三つ刻調査!
「終わったらちゃんと休んで食べるんだよ」
まどい君から貰った駅弁を食べた側が言うことではないかもしれないけど。
「……栄養バーくらいは買ってあげるから」
これは食生活終わってるD進。
これで食事になれると思ってる。
「はい、勿論です!」
成果が釣り合ってるか、と言われたら
ちょっとうーんなんですけどね。
結構真剣に楽しんでいるので大丈夫です。
「おやすみなさい」
「お疲れ様でしたー」
「そういや目的がそうだったね…」
強いな〜…
「オッケー、じゃあまたね。
今度は何か見えたらいいね」
大きな手をひらひら振る。