ホームE
ホームの一つ。
9・10番のりばがある。
「怖い事を言いますねー」
なんて言いながら、
あっはっはって笑ってしまうんですけど。
「分かりましたー」
「ちょっと見に行ってきますねー」
「……少なくとも、僕は、あったことは、ないです」
そういうのには。みえてるあれはともかく、他人への認識がおかしくなることは。
「……えと」「その」
「……お、追いかけるなら、手遅れになりきる前のが、いいと」「おもいま……」
「うん、俺も聞いた事無いんですよねー」
とは言えここは色々ありますからね。
知らない、覚えの無い事があっても
それは有り得るかもしれないんですけど。
「んー、やっぱり見に行った方が良いのかな……」
「えっ、と……」
貰ったお菓子とりあえずぽっけに突っ込んだ。
出会った異常異変。クマのぬいぐるみと、アナウンスと、多いホームと……
「……えと」「ホームが増えて見えたり、通路が進めないのは、ありました」「けど」
「………」
「他人を認識出来なくなるのは、心当たり、ない、ですね」
「わっ?!」「わわわ」
投げられたお菓子をヘニョヘニョの反射神経で受け止め……ひとつ取り逃したな。転げたのを拾った。
「あ、えっと」「ありがとう、ございます……」
「とっは」「いえ」
「あの……えっと、高城さん、」「かなり、深刻そう……でしたね」
「それはいけませんねー」
スポポイ! とお菓子を投げています。
余り物です。
この男には幻覚なんて見えていないので。
「慣れる事は必要ですが
壊れてしまう事は必要無いんですよね」
「困ったな」
「はなしが早い」「はい……」
「ずっと、みてきて、ます……」
少し奥の、何も無いところを指さす。
そこにぼんやりと、1つ目の何かが見えている
「……ぼ、僕もあんまり大丈夫じゃない、けど……ですが」
「なんか、一周して、慣れちゃった……」
「1つ目の人ですねー」
「聞いてます」
真っ黒くて、ちょっと赤色があるやつ。
「やっぱりアレが良くないんですかね?」
「どーしよっかなー」
「異崎さんは大丈夫そうですか?」
「だ、いじょうぶには……」「見えなかった、ですが」
少なくとも声が聞こえて無さそうだからさ。
「その」「ここ、みてるの、いますし……」
「異崎さんこんばんはーとか言うところなんですが、
何だか高城さんの様子がおかしいですね……」
「お菓子食べたら戻ると思います?」
幻覚なら良くなるらしいんですけどね。