ホームB
ホームの一つ。
3・4番のりばがある。
「あ、俺はこれからが本番なので……」
丑三つ時ってね、ほら……
幽霊が活発になる時間ですから……
「俺の事はお気になさらず」
「休んだらすぐに回りに行きますから」
水とか水道水で良くない?なタイプであったのでシリカ水購入は免れた。
「ンィー……ソウカモ…」
ソウカモ…
「俺も戻る〜。
走り回って超疲れたし。
まあ二人がいたから良かったかな」
まどいは?と視線を向けた。
ガンが治る水は極端な話で、シリカ水とか良いよと言われただけで買いそう。流石に追撃は黙った。
「刺さってると感じてるくらい、自分の欠点を感じてるって事でしょ」
鋭い事を指摘している意識もないので。
「そろそろ遅いし……僕は宿舎に戻ろうと思うけど」
足も動くようになったので。二人はどうだろう。
でも馬鹿みたいだしな……とかいう
悪い言葉は黙っておきました。
そんなに切れ味鋭くもないだろうと思っているし。
お勉強している人なんだし……
「ガンが治る高い水とか怪しくて買わないけど!?」
いくらボンボンでもナイな、と首を横に振る。
「ウヅカって結構鋭いよね、言葉の切れ味。
もうずっと刺さりまくりなんだけど」
労わってよ〜、と情けない声。
「言葉も単語覚えて無ければ会話出来ないように、
物の名称は単語でしか無いわけで」
それを元に色々と学問をするのだ。
「まあ……心理学が天職なら、いいんじゃない?」
「そのうちガンが治る高い水買うことになるかもしれないけど」
「だから頭良くないんだって〜…えーん、えーん」
大きな身体を丸める。
明らかに嘘泣きだ。
「ザルみたいに通過していくんだよね。
だからいつの間にかやらなくなっちゃった」
「それはそうかも」
「学問なんて多かれ少なかれ
暗記する必要が出てきますからね……」
まーだから向いてないんですけど。
この覚え方だと遅いから。
「ああ、知識と名前が結びついてる方か。
その分考える事も多いとは思うけど、良いやり方だと思うよ」
知識が先か、名前が先か。
どちらも悪くないと思う。
「心理学については素人で分からないけど、心理学の現象もずいぶん種類が多いと思うけどね」
それを覚えてからが基礎でしょう? どちらも。
「ナイカモ」
ナイカモ…
「そのぉ…幅が広すぎてぇ…覚えきれないっていうかぁ…
ちょっとがちょっとじゃないっていうかぁ…」
覚えられたら苦労しないんだよね、実は。
「いえ、あの、俺は紐づけて覚えるのが得意なので……」
「例えば名前と見た目、みたいに」
「原子が既存の知識と結びつけば
あのー、多分……覚えられますよ……」
「?」
「名前って覚える以外のやり方、ある……?」
君はまどい君で、あっちが小桜君。
それと同じ物だよ……?
ちょっと物の幅が広いだけで……
「頭が良い人に褒められちゃいました」
ヘヘッ……嬉しいですね。
頭が良くなったみたいで。
「?」「覚えるだけ……」
そういうものなんだ……
頭が良い人たちには……
震えの収まった足を確認して立ち上がる。
「ああ、いいね。まどい君のその視点。
無機物では無いもの。区切りが難しい所はあるけど、その認識で間違いはないよ」
案外、回りくどく説明しなくても伝わってたのかも。
「理科が苦手って言っても、その辺りは物の名前を覚えるだけでしょ?
心理的に受け入れてないから、出来てないだけじゃない?」
「理科って苦手なんだよ〜…」
2mが出来るだけ小さく丸くなりました。
最低限必要な部分以外の知識はとことん無いらしい。
「いや、だって…ねえ?
コップみたいなのと…細長いやつとかある…アレだよね?」
やっぱり違います。
ビーカーのようですね、恐らく…
ただ試験管のイメージもごちゃごちゃになっている。
「そうかな……」
あまり納得はしなかった。
言い方のクセみたいなものかもしれない。
「菌やウイルスは生物の分野だよ」
わざとやってる……? と懐疑的な目。
それで大学に行ってるのが信じられないのだ。
「だって就職してるならわざわざ“大学は”なんて強調しないでしょ。
地方の国公立大だったよ、から繋げてたから大学院生なのかな〜って思ってさ」
心理学やってる成果かも、なんて冗談。
「博士課程ってめちゃくちゃ頭良いじゃん!
有機化学って菌とかウイルスとか調べるやつ?」
全然分かっていない人の発言。
「大学院ってすぐに繋げられるのすごいね。
大体は就職するのに……
まあ、はい。大学院後期博士課程の2年だよ」
観念して言った。
「有機化学だよ、まどい君。
えーっと、ほら。フラスコ振ってそうな、アレ」
分かりやすい説明をしようとして、すごい雑な説明になってしまった……
「それを言われると弱いんですけど……」
怪奇! 脅威の零感男! になってます。
「ウヅカさんは頭良いですよ!」
「俺が知らない事を沢山知ってて、
何か物理的な化学的なアレソレがどうのこうのなんですよね!」
「まどいは怪奇を見に来たんだ。
そういうの好きなんだね」
メンタル強いな、なんて笑う。
「うん、まあ間違いじゃないよ。
なんか金持ち多いな〜、大学も金かけてそうだな〜って感じのとこ」
やっぱりなんか苦労してそう。
「国公立ってめっちゃ頭良くない?
大学は、って事はもしかして大学院行ってる感じか。
…なんでこんなとこにいるの?」