商業通路(西)
改札外西側。
主にチェーン店やレストラン・カフェなどが多い。
営業時間外の為、殆どのお店は閉まっている。
「首輪には驚かなかったんですけど、犬の鳴き真似をしてる人の声がして怖かったです……」
しょもも……可愛い犬の霊ではなかったらしい。
「え。これも、視える人と視えない人がいるんですね……?」
困った。報告に使えるだろうか……?
「……霊感というやつなんでしょうか」
それにしたってだが。
「本当にゲーミング首輪じゃないっすか。これ遭遇したら怖いより手ェ叩いて笑いますね」
写真を見た。へー。
「まどくん本当0感なんすね」
「髪に嫌われる」
「将来薄くなることに気をつけて欲しいっすね〜…」
無警戒で近寄ってくれたおかげでハグも出来て役得です。
でもあまり拘束するのもよくないから解放しようね。出来るナンパ師は引き際も一丁前なのです。
そもそも初対面をハグするな。
「えー、でももうオレ達知り合ったし~ ね」
「なるほどねぇ。そこのお二人さんはそういう流れか」
「いいんじゃない、これを機に付き合っちゃえば。吊り橋効果ってヤツ」
それは長続きしないフラグだ
覗き込んだ写真には、さぞ珍妙キテレツなものが写っているんだろう。
「凄い、何も映ってない」
「俺本当に目悪いのかもです」
写真越しでも何にも見えないなんて……
センス、無いのかも。
「排水溝に髪がびっしり詰まってるのを見たとか髪の毛が足に絡んで来たとか」
「髪の毛にまつわる現象をよく聞くが俺まだ遭遇したこと無いんだよな」
「髪の毛に嫌われてるのかね」
髪に嫌われるとは。
「怖い思いしたから近くに寄っただけだよ。
人がいる方が怖いのも和らぐかなって…」
そしたらご覧の有様
警戒せず近づいたせいとも言う
「この流れで付き合うのは軽率すぎない!?」
この人何言ってるんだろう(2回目)
「怪奇現象、では……あるかも?」
なにせ宙に浮いていたのだ。そこに犬がいるみたいに。
カメラが捉えたゲーミング発光首輪は確かに、不自然に中空に浮いている……。
「うっ」
窓は見ないようにしよう。怖いから。
「窓にはなーんもいねっすね」
「十中八九怪奇現象っすね」
「ていうかそんな早急なお金に困ってる人だらけ…いや間違いなくそうなんでしょうけど」
「たっけえお金もらったら何に使うんすかね、みんな」
「えぇ、あそこに髪の毛が垂れていたのよ。」
のんきに窓の外を指差している。
…見ていない人は見えていないかも。
「ずっとこちらを見るお方とは違う人だとは思いますけど。」
「時給1万円に釣られてしまって……」
お金よ。世の中ね。
「虹色の首輪とか、撮れました。
……わんちゃんは居なかったし、犬の鳴き声は人のそれでしたけれど……」
「あの契約書ならちゃんと読んだぜ。多分」
それなら細かい部分まで覚えているかと問われれば否なのだが。
「まあ俺は大金貰えるならそれでいいし、そうでなくてもどうなっても良い覚悟で来てるな」
「お、カップルって言われた。オレ達付き合っちゃう? オレは高城 水規って言うんだけど……」
調子乗りすぎ。
「契約書なんてあんな長ったらしいの読んでらんねーって。ハハ」
だから何も知らずここに来たのだろう。哀れ。
「契約書を読んだ上できてたら物好きか切羽詰まってるな〜になるっすけど」
「読んでなかったら色々問題ありすぎっすね」
「えっとれたものあるんすか?!」
「いいな…………」