商業通路(西)
改札外西側。
主にチェーン店やレストラン・カフェなどが多い。
営業時間外の為、殆どのお店は閉まっている。
ここの物価の高さは結構痛い出費。
何せどれそれも、必要な品なら費用は全て自分持ち。
こっちは金が欲しくてきているのに、必要用品を買ったらすぐに素寒貧になってしまう…
(やっぱここも高ぇすね。)
うむむ……
ノソノソと通路を歩く大柄男子高校生。
朝から巡回帰りのようだ。
閉まっているであろうカフェのメニュー表をじっと眺めている。
(また開いてる時に来ようっすかね…あ、でも外食って高いしな……。)
と190cmが唸っている。怖い。
【道具使用】
真白こころ は トイカメラ を使った。
カシャッ。……うまく撮れただろうか?
懐中電灯片手に今日も業務をこなしていく。
背後で服が擦れる音がした。
「…」
誰かいるのか。
いや、今は自分だけだろう。
振り返っても誰も
「……まぁ。」
見えざるモノと目があった。
「特には……」
おやすみなさいって言ったほうがいいかなくらいだし……
「ですね……」
縁、いい響きだ〜
「じゃあ戻りましょうか……」
「あ、じゃあ僕も宿舎そのまま行きます……」
なるべく早めに離れよう
「縁、あるものですね……」
多分考えていることは同じ。自分も良かったことはきっと、それになる。
「これも何かの縁ってやつっすかねぇ。」
このバイトをやって良かったところを聞かれたら、友達ができたって言おう。
「オッケーオッケー!……オレはそのまま宿舎行こうかな〜。」
余裕そうではあるものの、一刻も早く此処から立ち去りたいようで。
「僕も、田辺くんみたいな友達は、初めて、かも……」
こっちも笑う、にこにこ。
「はい、そうですね。一回広場に戻って、僕は寝ます……」
言われてみたら、確かにサボってもバレなさそう。ここからは撤退。流石に幽霊に骨もぐもぐされるのは嫌だしね……!
「ケイみたいに、律儀な人と友達になるのは初めてかもしれないっす。」
笑っている。
「じゃあ戻りますか!巡回し終わったし、というか沢山の人が巡回しているからしなくてもバレないっしょ!」
ヘラヘラしている。
「こんな所いたら幽霊に骨までしゃぶられちゃうし。そんなのもっぱらごめんだ。」
「そうですかね……」
気にしたこと無かった。
「僕は……恥ずかしいんですけど実は結構眠くって……田辺くんは元気ですね」
いつでもどこでも大体安眠の健康優良児な為に……
「やっぱケイは丁寧っすねぇ。」
上司じゃない限り小さな会釈なんてしない性格。
「オレはまだ問題ないすよ。寧ろバリバリ元気。ケイは?」
「はい!よろしくお願いします……!」
軽い会釈。
「…あ、そう言えば田辺くん一回戻るって言ってましたよね……?時間とか……大丈夫ですか?」
たずねる。
「オレも。」
端的に返したが、この三文字にはとてつもなく共感している気持ちが伝わってくるかもしれない。
「オレら似たもの同士、仲良くしていきましょ!」
「ですよね……!」
頷く。
「本当に友達っていうのも久々だから、余計に嬉しいです。ここでそんな人に会えるとは思ってませんでしたけど……」
それでも、嬉しそうに緩む頬。少し微笑む。
「えぇ、そうだったんすか?ダチと言えば名前呼び!ってイメージなんだけど。」
嬉しそうに笑っている。
「って言っても……オレも久しぶりに友達ができたな。」
ちょうど今、ここで。
「う、頑張ります………!」
乗り気の気配に当てられて、自分もどこか気分が良くなってきた。
「あ、それもあるんですけど……あんまり名前で呼んでくれる友達いなかったので……」
名前呼びしてくれるほど仲いい友達がいなかったとも言うし、友達が普通にいなかったとも言う。
「だから田辺くんが、久々の、友達で、先輩です……」
「できるできる!フランクに生きていこう〜。」
気分が良いのかのり気そうだ。
「へぇ。やっぱケイの名字って珍しいから、そっちで呼びたくなる人が多かったり?」
「そうですね、慣れることが出来たら、嬉しいです」
少し小首を傾げる。顔にはあんまり出てないけど、照れてるらしい。
「はい、大丈夫です。なんか名前呼びって久々です……」
「二週間くらい?あるんで、きっと慣れるっすよ。」
にっこり笑顔。消耗し切った精神が回復していく。
「ケイって呼んでいいっすかね。オレ的には名前の方が呼びやすくて。」
「じゃあ、田辺くんで……」
結局戻っちゃった。
「いつか自然に呼び捨てで呼べるようになりたいです……。あ、僕のことも好きに呼んでください……」
「っはは!なんすかそれ!」
笑っている。コメディ番組で初めて見た面白いネタに会ったような感覚。
「慣れるまで無理しなくていいっすよ。強制するつもりはないから。」
「あ、すみません……」
確かに起きるかも……それより先に居なくなりそうだけど。
「う、ぐぐぐ……た、たぁ……田辺……」
と言いたいのをぐっとこらえて言い切る。
「言え、まし、た」