コンコース(西)
改札内広場の西側。
有名コーヒーショップや小さめの本屋、土産屋などがある。
営業時間外の為、殆どのお店は閉まっている。
ホームへの登り階段・エスカレーターもある
「だよねー 知ってた」
「いんやあ? 元気元気」
「なんにもないなーって」「なんにもないとさ、意識しないとぼーっとしちゃうっていうか」
「そんだけだよ〜」
「何、またどっか増えたの?」
「うん?」
なぁんか、呼ばれた気がするな。
「ん〜……」「あー……」
「間戸さん」
気付いた。手を振り返します。
それで、寄ってくる。
「お疲れ様ー」
「調子どう? 相変わらず?」
聞く前から大体わかってるけども。
「あ、洞木さんお疲れ様ですー」
気づかなくてもこっちが気づいたら手を振ります。
まだまだ先は長いですが、
この先も変わらない自信がある。
ぼーっと、歩いている。
昼間だからって、懐中電灯は置いてきた。
そんなんだから、大した異常も見つからないんですね。
「二週間って」
「長いねぇ……」
あなたの気配にも、気付かないままだ。
ぼーっと天井を見上げてる。
「うーん……」
特に何も見えない。聞こえてない。
気配のひとつすら感じない。
良く分からない。
「難しいなー」
深呼吸。持っていた飲み物を飲み下す。
――結局あれも幻覚の類か、あるいは驚かすためのアトラクションの一種。
落ち着いてくればそんなようにも思う。
報告を軽くまとめつつ、一時の休憩。
【道具使用】
キョウカ は 飲み物 を使った。
のみものを飲んだ
異常なし、人の声がする。きっと同じような巡回のものだろう。
異常なし、静かな広場だ。営業時間は終わって、客などいない。
異常なし、人が並ぶだけ。たしか、あそこはお土産屋だったか。
「……あれ?」
この時間のお土産屋に行列などあるはずがないのに。
通り過ぎた道を急いで引き返して確認してもすでに人影はなく、立ち尽くした。
「ゑ」
文法の異常に気がついて声がひっくり返った。
「どち、どっちでもあるって意味で……!」
慌てて訂正する。意味の矛盾は無自覚だった。
「は、ハイ……お疲れさまでした……」
「わたしは、業務に戻ります」
去る人、残る人。双方に会釈し。
懐中電灯を持ち直すとこの場を後にする。
フィクション作品の想像はこれもしていたところだった。
推理小説とかにありそうだなって。
「どっちっすか…?」
こわくなんてないこともないこともない。
「ま、とにかく。終わったなら程々にして帰るが吉っすね」
「ヒィくんまたねっす〜」
「僕もそろそろ別のとこ行くっすかね」
「あれ、違った?
まあどっちにしても程々にね、マジで死体が一人でに動いてくっ付いたりしそうだし」
怖い怖い、と身を守るポーズ。
「とりあえず俺はそろそろ宿舎に戻ろうかな〜。
全力で走って疲れちゃった。
皆と会えて良かったよ、またね〜」
ヘラヘラ笑って、ヒラヒラ手を振ってその場を立ち去ろうか。
各々の話を聞きながら、半ば考え事半ばぼんやりしていた。
そういうフィクション作品あったな……て具合に。
「えァ」「ぁ、あっ」
突然の名指しにぽかんと。慌て。
「ち、ちが、怖くなんて……ないです、ことも、ない……けど!」
文法の異常発生。
「ま、偶然でも実際そうには違いないっすからね」
「よっしゃ、じゃあ、ヒィくん」
「僕もわくわく!する方なんすけど」
力強いな。
「女子ィ〜…じゃなくてそう言われるなら程々にやめとくっすかね」
けら。笑う。
「いや、ヒガンくんで良くない?
良くないなら…ほなヒィくんでええか…」
一人で勝手に納得してしまった。
「繋ぎ合わせる発想だけで怖いのにそこから別の何かしらを錬成しようとするのやめない?
ほらニカが怖がって黙っちゃったじゃん」
黙ってしまったのをそう解釈したようだ。
「ちょっと男子ぃ〜、ニカくん怖がってるじゃん」
?
「二文字は、偶然じゃあ……」
出しかけたマジレスを飲み込んだ。ユニークな返しが思い浮かばない。
「……」
面白いと思えるのは凄いなと思いながらダンマリ。
「みんな名前に個性があっていいっすね〜」
「って。2文字まじじゃないっすか。偶然もあったもんっすね〜」
「じゃあ、小桜くんは、ヒィくんで」
力技で2文字にした。
「全く違うもの、でもいいっすね」
「手足の長さ、指の太さ、肩はば…」
「ホラーミステリーになってきたっすね」
話が。
「あ、ほんとだねぇ」
彼岸君以外は2文字…!
「繋ぎ合わせて一人ができたら面白そうだけど、全く違うモノが出来上がったりして?」
くすくす。
「ナキとフウとニカね、よろよろ〜。
っていうか俺以外全員下の名前二文字じゃん」
俺だけ仲間はずれ〜?なんて笑う。
「全部繋ぎ合わせようって発想がヤバいと思うんだけど、俺だけ?」
「そ、そんな、映画みたいな展開……」
死体だとか繋ぎ合わせるだとか。実現してほしくない類だ。
ヤダなあの顔をする。
「ゥ」
「佐藤二樺、です」
あだ名をつけるのは上手な方なんですよね。
「椅子遭遇率高いんすかね?」
「体の部位は…あ!言われてみれば確かにそうかもしれません」
「全部の部位をつなげたら1人の人間になる、サスペンスっすね」
ホラーというよりは。
「集まれた方がそりゃやっぱ、安心感があるもんでしょ」
「僕は花車風っていいます。よろ」
「バラバラ死体が沢山埋まってたりして…コワッ!!」
自分で言って自分で怖がる2m級。
「とりあえずこうやって集まれたのも何かの縁だよね〜。
そこはマジラッキーっていうか。
あ、俺は小桜 彼岸。よろしく〜」
すっかり調子を取り戻したのか、ヘラヘラと笑っている。
いつの間にかあだ名がつけられていた。再起動て。
「か、体の部位が……よく見つかります、ね」
目やら指やら。
高身長組を見上げるどころか足元を見ている。顔を見て話せない人種らしい。
「再起動した。よかった」
「そこの再起動してる人は変な場所に椅子とか見たらしいっすよ」
「僕は…あー、壁の隙間に細い指が詰まってるの見ました」
「視線とか目玉は…なんかいつも見られてるやつの話はよく聞くっすね」
僕は違うけど。