ホームC
ホームの一つ。
5・6番のりばがある。
「存在しないゴールに向かって走り続ける悲しさよ……」
「……ふーん、そうなのか……」
ふーんしちゃった。
「いや嘘かこれ」
まだ疑う心は残っている。
「違うなら一体何なんだアレは……」
「志があるんだからそれに向かうだけっすね〜〜」
めげない。
「だいたいフリーター歴が3年を越すと、プロのフリーターとされるんすよ」
カスの嘘を吹き込み。
「エアあやとり」
「寂しいことしてるっすね………」
「立派な志だ 幻であるということを除けば」
「フリーターってプロとかあるのか……?」
無知故に微妙にツッコミきれていない。
「…… エアあやとりとかしてんのかな……?」
「目指せ、食品自給率100%」
「僕ってプロのフリーターなので」
フリーターにプロも何もない。
「……?」
なんすかね……あの手……
なぜそのままフェイドアウトしなかったのかなど思い始めた。
穴があったら入りたい。
そんな感じ。
幻覚、幻聴からも逃げれるかもだし。
「その理屈だとおおよその食品が栽培可能になるだろ」
「嘘じゃなくマジの実体験っぽい気がしてきたな……」
あれ何……動かしてるんだ……
「栄養があるから栽培もできるんすよね〜」
?
「バイトではあった…時もあったっすね」
「まさに欠け選別っした。まあなかなかない仕事っすけどね」
フェードインしてきたな…と眺めながら。
「独裁、押していくっすよ」
「育てて縦に伸ばすんすよ、いいでしょう、食べるより」
「あるっすよ〜……工場でバーを選別する作業をしていたことも……」
真偽不明。
フェイドアウト人には、ひらり手を振った。
「権利の独占はなんらかの法律に触れるぞ……」
「クソ……こいつ滅茶苦茶栄養バーを養護してくる教師みたいな目線まで入れて……」
「ちゃんと食ってるのかそっちは 強い子にちゃんと金払ってやってるのか」
「僕の特権だったってわけです」
そんなことはない。
「味は味バー(?)でとるんすよ。その分栄養が偏りあるんでしょうね、味バー」
「そのラインを飛び越えて愛用に寄せることで、栄養バーを名乗ることを決めたんすよ、このバーは………強い子だから」
「クソ……ヒトコワは俺の特権なのに……」
そんなことはない。
「まー第一に必要とされるのはそーだろうし……」
「味は味バー(?)で取りましょうねって感じなんだろうが」
「でも健康と味を共存させられるラインだってあるだろ~ッ」
「ふん……幽霊より人間の方が怖いと思い知らせたっすね」
そんなことはない。
「栄養バーなんて栄養取れればそれでいいっすからね」
「栄養全振りで味は二の次と思いましょう」
「きっと、健康」
「うおびっっくりしたっっっ
ぬっと出てくるじゃんかよ」
肩を跳ねさせてから、あぁ……と段々元の体勢に戻っていく。
「だって本当に……あんまりなんだよ。
俺だってフツーの栄養バーなら言わないって……」
ふと、思い出した栄養バーを口にする。
……やな仕掛けを見てしまったから。
はぐ、勢いよく、齧り付いて、……
「………」
「美味く…… ねえ…………!?」
思わずツッコむ味だった。
「こういうのって普通まあまあ美味くて企業努力が感じられるモンじゃないのか……?????
どうなってんだよ 怠慢だろ ……………… ああ、あー……」
ある種気は逸れたな。
【道具使用】
佐藤ノボル は 栄養バー を使った。
お腹は膨れるが、おいしくない……
下側を光で照らすと…… ……無数の『助けて』の殴り書きが照らし出された。
……落書きなら、人間が書いたものと片付けられる。 ……でも、……下に降りて書いたってことか? ………
………
「……… はあ…… ……」
5番乗り場を、懐中電灯で照らしながら歩いていく。
足の進みは遅く、やがて……止まった。
線路を眺め…… 縁に腰掛けて、見下ろす。
「……降りて歩いてもいいんだろーかなあ……」